生ごみ関連記事あれこれ

アメリカミズアブの働き

アメリカミズアブ(体長約2cm)

ここ茨城県では、夏の終わり頃から(8月~10月)コンポスタのまわりで見かけることが多くなります。気温30度を超えると蚊の活動が鈍るそうですが、アメリカミズアブもとても暑い時には現れません。

ウィキペディアによると、アメリカミズアは北中米原産で、1950年頃に日本にやってきて広がったようです。なぜ他の虫がいないのかはわかりませんが、これまで10年程の間に、外部からやってきてコンポスタの中で発生する昆虫は、ほぼアメリカミズアブだけと言っていいと思います。コバエは、飛んできてコンポスタに入り込んだというよりは、生ごみについて入ってしまい、環境が許せば中で繁殖もできるようです。

アメリカミズアブの成虫は何も食べないということなので、成虫がコンポストに来るのは、自分の食べ物を探すためではなく、産卵のためです。卵から孵った幼虫が育つための環境を探してやってくるようです。人を刺したり、咬んだりすることはありません。

そして、時間をかけて丹念に最適な場所を探し、良い隙間を見つけたら産卵します。細白っぽい1mm程の細長い卵です。

ガベジンでは、成虫が中に入ることはできないので、卵は外側のどこか見えにくい場所にまとまってくっついています。卵は2-3日で孵り、食べ物まで移動すると思われます。卵は十分見える大きさですが、幼虫が移動しているところは見たことがありません。

卵はまとまっているので、気づいたときに全部拭いとるのは簡単にできます。

ケースのどこかに、まとまったクリーム色の卵を見つけた時、つやつやぷりぷりなら、まだ卵の状態です。光沢がなくやや干からびていれば、もう卵が孵って幼虫が移動してしまった後のものだと思います。

しばらくすると、コンポスタの中で幼虫や成虫を見つけることになります。幼虫は小さいうちは卵と同じような色で、大きくなるにつれてだんだん黒っぽくなり、蛹を経て脱皮し成虫になります。卵の数と比べて、成虫として飛び出していく数は少ないように思います。幼虫のうちは、中の方に潜っていて気づきにくいのですが、蛹から出て羽がしっかりしてくると、コンポストから出てやがて飛び立っていきます。アメリカミズアブはコンポスタの中で繁殖することはないようです。

コンポストの中に現れる幼虫は姿が似ているので、小さい時は何の幼虫なのかはわかりませんが、1cmほどまで大きくなれば、これはほぼアメリカミズアブにまちがいないと思います。もし、使っている人が許容できれば、そのまま続けてもコンポスタとしての役割には影響なさそうです。むしろ、幼虫と微生物との共同作業で生ごみは早く無くなります。

さらに、アメリカミズアブの幼虫が消化することで腐敗臭が軽減するという報告もなされています。

「日本の研究グループが昆虫を使って食品廃棄物の臭いを抑える技術を開発!」

昆虫をタンパク質源とすることで、地球規模のタンパク質危機を回避し、温暖化ガスの放出の縮減など、SDGs17の目標達成に向けて大きく前進する可能性を秘めている益虫がアメリカミズアブなのです。もしも自宅のコンポストにアメリカミズアブ幼虫が発生したら、「やったー、ラッキー!」です。 (SDGsMAGAZINE 2024.1.12記事より)

アメリカミズアブは、成虫も幼虫もその糞までもすべてとても有用な虫として、世界中で研究や実用化がすすんでいます。日本でもいろいろな機関や組織が実用化をめざしています。

そのひとつ山形大学の活動が紹介されている朝日新聞SDGsACTION「ミズアブが食品廃棄問題を解決⁉ 嫌われ者の虫がつくる食物循環社会に」はこちらです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


おすすめ